2023 Collection
the living stories
アイテムができるまでの各工程や仕様など、作られ方が見えるのもCafco.dallaの大きな特徴。そんなCafco.dallaのものづくりは、生きたストーリーで溢れています。
養蚕【愛知県豊田市】
命 – lives –
お蚕さんは約30日の間に、桑の葉を食べ、4回の眠りと脱皮を繰り返し、サナギになるときに自身を守るために糸を吐いて繭をつくります。古くからの品種改良により羽化しても成虫として生きる力がないお蚕さんは、その短い一生を終えます。
物語のはじまりは、自然の恵み、そして命から。
愛情 – affection –
養蚕は、かつて養蚕・製糸業が盛んだった愛知県豊田市を舞台に。
養蚕家さんは、お蚕さんがすくすくと大きくなれるよう、 そして、心地よく糸を吐けるよう、 室温、湿度、風通し、桑の葉のあげかたなどに気を配り、愛情をかけて育てます。 その育て方は、糸の太さ、長さ、糸ムラなどを左右します。
「大きくなってね」「居心地は良いかい?」
命への愛情があってこそ、質の良い繭が作られます。
製糸【長野県岡谷市】
歴史的背景 – historical background –
開港以降、昭和の初めに至るまで最大の輸出商品となった生糸。
「千差万別の繭を、工業製品として均一なものにしなくてはいけない」
そこには日本の近代化を支えた、製糸技術がありました。かつて日本のあちこちにあった製糸工場も、今では片手で数えるほどに。しかし、繰糸機の理にかなった仕組みや精度の高い感知器など、製糸技術は今でも継承され、日本の近代化の礎を築いた蚕糸業の歴史、文化を伝えてくれています。
2022年コレクション制作では、長野県岡谷市にある宮坂製糸所さんで製糸をおこなっていただきました。この工程では、繭から糸をとって生糸にし、その生糸を何本か合わせて必要な太さにします。繰糸(繭から糸をとって生糸にする作業)の際、糸の太さが均一ではなく節が上がって機械が止まってしまったり、糸が切れてしまったりするそうです。そのため、繭質によっては、狙い通りの細さで製糸ができないことも。豊田市の養蚕家さんが育ててくださった繭は、節が上がることも、糸が途中で切れることもほとんどなく繰糸ができたと伺いました。
お蚕さんの命と、養蚕家さんの愛情がつないだバトン。そのバトンは、近代化を支えた製糸業の歴史と技術により、一本の、細く長い糸へと形を変えます。
撚糸【東京都八王子市】
染色【京都府上京区】
技術 – the experienced craftsmanship –
撚糸工程では、製糸した糸を更に撚り(ねじり)、それらを数本撚り合わせて糸を強くします。撚り方や撚り回数により、その後生地にしたときの光沢感や生地の柔らかさといった風合いが変わります。求める生地の風合いに合わせて、職人さんに撚り方を決めていただきます。「糸質が良かったから、とても柔らかい糸に仕上がったよ」撚糸の職人さんがそうお話くださいました。同じ撚り方をしても、糸質によって仕上がり具合が変わるのです。
撚糸のあとは精練・染色工程。生糸表面にあるセリシンと呼ばれる成分を落とすことで(精練)、シルク独特の光沢を出すことができます。「季節・気温・湿度によって乾燥状態が変わるため、それに合わせて、干す場所、干す時間を決めています」そう語るのは、染色工場の職人さん。
ものづくりで扱うのは、「生きた糸」。その中で光る、職人さんの技術、経験、知見によって、ものづくりは進んでいきます。
製織【東京都八王子市】
整理加工【山梨県富士吉田市】
伝統産業 – the traditional industry –
製織は、長繊維の町八王子市のハタヤさんにて。「ネクタイよりも柔らかく、スカーフよりもハリをもたせたい」そんな要望に合わせ、糸の太さや、撚糸具合などをご提案くださいました。そう、すべてのものづくりは逆算でのものづくり。
求める風合いや色合いにするために行った試し織りは、約7回。色の出方をこんなふうにしたい、生地の厚さを修正したい、こんな風合いにしたいなど、試し織りを行うたびに課題が発生しました。根気よくお付き合いくださった職人さんによって、求める生地を製織することができました。
その後、生地の表面を滑らかにするために行うのが、整理加工。整理加工を行った山梨県富士吉田市はネクタイ産地として知られる町です。近所のハタヤさんが度々工場に訪れ、風呂敷に包んだ50cm幅のネクタイ生地を工場の入口にある趣のある木製のカウンターに置いていきます。「いつもどおり、よろしくね」と言いながら。その光景から、信頼し合える各工程の職人さんがいるからこそ、伝統的な産地として栄えることができることがうかがえます。
縫製【神奈川県横浜市】
伝統産業 – the traditional industry –
横濱スカーフで知られる横浜市にある縫製工場で、一本一本丁寧に縫製をしていただきました。シンプルな縫製ですが、だからこそ縫製技術が光っています。